日本人F1ドライバーが再び現れるには…

2018年ブラジルGPはブラジル人F1ファンにとってどう映ったのだろうか?

 というのも、2018年は前年までウィリアムズをドライブしていたフェリペ・マッサがF1を引退した結果、初めてブラジル人不在のレースとなったのだ。

 しかしながら明るい光が同じ週末に2つ発表された。

 一つは、マクラーレンから。18年にF2で戦っていたセルジオ・セッテカマラが19年より同チームのテストドライバーに就任すること。もう一つは、ハースから。18年にスーパーフォーミュラ、WEC、インディーカーなどに参戦していたピエトロ・フィッティパルディが19年テストドライバーに就任することが発表された。

 これにより、早ければ2020年にブラジル人がフルタイムでF1に復帰する可能性が高くなったといえる。

 

 さて、表題から逸れた導入となったが日本人はどうだろうか。

 2014年に小林可夢偉ケータハムで戦って以降、日本人F1ドライバーは誕生していない。テストドライバーという範囲を含めれば16-17年に松下信治マクラーレン・ホンダに在籍していたが、18年に国内に戻りF1から少し遠ざかってしまったように思える。

 では、いまF1に最も近いドライバーは誰なのだろうか。

 まず、F1ドライバーになるための条件を考えてみよう。

  1. スーパーライセンスポイントが過去3年間で40ポイント以上あること
  2. F1チームやPU供給メーカーなどとのコネクションが存在すること
  3. F1直下カテゴリーで優秀な成績を収めること

 以上の3点が必要条件に該当すると考えられる。

 今の日本人で各項目に該当するドライバーを確認してみるとこのようになる。

  1. 中嶋一貴
  2. ホンダ系ドライバー全般、またはレッドブルアスリート福住仁嶺、平川亮
  3. 該当なし

 以上を見ると、最低条件である1.スーパーライセンス発給要件の40ポイントを獲得している中嶋が一番近く見えてしまうが、年齢や2.が足かせとなる。

 2.の中で見てみるとホンダ系ドライバーにもレッドブルアスリートの二人もライセンスポイント40ptに達してはいない。最後の3.に関してはそもそも該当者がいない。

 ちなみに、レッドブルアスリートはあくまで「マーケティングプロジェクトの一環」のため育成程の強力なコネクションはないが、有ると無いとでは違いがあると考え2.に該当するものとした。

 

 では、これら各要件を満たしてはいないが、満たす近年中に見込みが高そうな日本人というのは何人いるのだろうか、という話になる。

 ここからは独断と偏見で2020年辺りにF1参戦の見込みありそうなドライバーをあげてみる。

  1. 牧野任祐

牧野は18年F2でランキング13位で(11/11現在)日本人初のフィーチャーレース優勝を達成した日本人である。ホンダの育成でもありコネもある。19年の活躍次第ではF1への最短距離にいるといっても過言ではない。

だが、4輪の世界に入ってからチャンピオン経験に見放されており、FIA-F4:2位、全日本F3:5位、ヨーロピアンF3:12位という結果のためスーパーライセンスポイントは保有日本人の中でも最小の1 ptしかない。

  1. 福住仁嶺

福住は17年GP3を名門ARTで戦いランキング3位に入った。18年はスーパーフォーミュラとF2の二足の草鞋を履いて戦ったが、どちらも不本意な結果に終わっている。スーパーライセンスポイントは18pt保有しているが、18年の結果が悪い方向に転ばなければまだチャンスはある。牧野同様ホンダ育成に所属するのみならずレッドブルアスリートとしてサポートを受けている。

  1. 平川亮

17年にスーパーGTで最年少チャンピオンを獲得し、18年はスーパーフォーミュラでオープンホイールに復帰、最後までチャンピオン争いをし5位となった。レッドブルアスリートに所属し、年齢もまだ若い部類に入り実績もある。しかし、スーパーGTがライセンスポイント対象になったのが今年から、去年までスーパーフォーミュラ参戦を休止していたことによるポイントの不足、なによりトヨタ系列ドライバーであることがネックとなっている。

  1. 松下信治

松下は15-17年の3年間GP2-F2に参戦しており、シリーズ6位を1度達成している。また、マクラーレンとテストドライバー契約もしていたことがあり本来F1に最も近いドライバーのはずだった。

が、3年間の内にライセンスポイントを40pt稼げず、18年は国内でスーパーフォーミュラに参戦。ここで結果を出せればよかったが11位に終わっている。本人は欧州復帰を希望しているが、有望な若手が育ちつつあるホンダとしては今以上の協力は難しいと思われる。

 

 以上の4人は最短でF1行きの期待があるドライバーと考えている。いずれもホンダ、またはレッドブルとの何かしらのコネクションを持っており、19年の成績でF1への扉が開く可能性が高い。

 そのためには牧野、福住は19年もF2に残り、牧野はランキング3位以上、福住はランキング4位以上に入らなければならない。

 平川は何かしらの形でF2参戦の機会を得たうえでランキング4位以上。松下もF2への復帰を成功したうえで4位以上に入らなければスーパーライセンスの発給はない。

 その上でF1チームへのコネクションやアピールをしてチャンスを作らなければいけないのだ。

 一番F1に近くても、F2ランキング4位以上の壁が今の日本人には立ち塞がっている、と私には見える。

 さて、この4人を除く若手はどうなのか?などはまた別の機会に。